近江歴史回廊倶楽部

  歴史解説・紹介

   近江の国宝・重文・建造物(1)
     
〜見学会資料抜粋


 滋賀県には平成24年2月23日現在、国指定の国宝・重要文化財建造物が181件(内・国宝22件)、232棟(内・国宝23棟)ある。

■五村別院
  本堂(重文)は棟札などから享保15年(1730)の上棟。平面は外陣・余間・内陣からなり、内陣に須弥壇を構え厨子を置く、真宗本堂特有の形式。

柱や虹梁が比較的太く、古風な趣である。表門(重文)は延宝2年(1674) の建立。冠木や親柱が太いなど形式や意匠に本堂と多くの共通点がある。

  本堂は江戸時代に湖北地方で活躍した西嶋家の代表作に当たる寺院建築である。また、表門は西嶋家が大工を務めた建築物として最も古いものである。

■ 西徳寺本堂(重文)
真宗の地方への布教は、道場とよぶ民家の一室に、南無阿弥陀仏の名号を掲げた講として広められた。

      
                           西徳寺内陣

中世末期から宗教的な間取りの惣道場が現れ、後に真宗特有の本堂へと発展していく。
湖東北部には惣道場系の本堂が多く残るが、西徳寺本堂は、妻入りで奥行きの深い入母屋作り、茅葺の屋根は惣道場の形をよく残している。

本堂は数度の修理を受け、内外陣もきらびやかな黒漆と金色の空間に改造されていったが、近年の修理で建立当初の木肌を見せた素朴な形に復元された。

■ 辻家住宅(重文) 【非公開】
 琵琶湖の最北端、塩津山系の山麓にあり、広い敷地に主屋(18世紀末、入母屋造・茅葺)・表門(1808、長屋門・切妻造・桟瓦葺)・倉二棟(南倉1780、前倉1732)等が建ち並び、湖北地方の庄屋の屋敷構えをよく伝える。

       
                               辻屋住宅

屋敷は表を西にして正面に表門、その突き当りに主屋、主屋の右横に南倉、左手前方には前倉を構える。主屋は平入りで南に広い土間を取り、土間の北側は上げ間になって棟通りを2分し、3室が2列に並ぶ6室配置。
西の南側から「西だいどころ」「なかのま」「おくのま」、東は「東だいどころ」「ねま」「仏間」と呼んでいる。規模の大きい「余呉型農家」として見るものが多い。

■西明寺本堂(国宝)・三重塔(国宝) 二天門(重文)
湖東三山中、北方の天台宗の寺で薬師如来を本尊とする。
創立は仁明(にんみょう)天皇の勅願により、三修(さんしゅう)上人が開いたと伝える。本堂(1182〜1333)は鎌倉時代前期に建てられたが五間堂であった。

室町時代になって建物の周囲一間ずつを拡張して七間堂になり、正面に3間の向拝をつけて現在の姿になった。今見る姿は建立当初の外観そのものではないが、拡張時の修理技術も優れており、繊細・優美の代名詞としてとりあげられている。

三重塔(1182〜1333、3間3重塔婆・桧皮葺)は本堂に向かって右方(南側)に建つ。伝統的な純和風の意匠でまとめ、逓減率を大きくし、また二重と三重の屋根の間隔を小さく抑え、安定感をもたせた層塔の建築美は三重塔の中でも屈指のものである。

初重内部は四天柱を建て大日如来を祀り、柱・長押・天井などの全面を極彩色の文様で飾る。
二天門(1407)は参道を登りつめた本堂前にある。

正面両脇間に2天像を安置することから二天門と呼ぶが、形式は桁行三間梁間二間の三間一戸八脚門である。全体を和様でまとめ均整のとれた門である。

■阿自岐神社本殿(市指定)
主祭神は「味耜高彦根(あじすきたかひこね)の神、道主貴(みちぬしむち)の神・道路の守護神の2神。

豊郷町北部に位置し、式内社とも伝えられ、境内全域が県指定名勝庭園である。本殿(1819、三間社流れ造・桧皮葺)は地元の棟梁により建立された。

県下に遺構の多い前室付流れ造本殿の形式であるが、庇柱は円柱で、立ち登らせ柱とすること他、装飾性に富み随所に近世らしい手法が見られ、この地方の工匠の高い技量を知ることができる遺構である。

■豊満神社 四脚門(重文)
社蔵文書に「惣門築地 元享3年(1323)」とあって現在の四脚門の様式が鎌倉時代後期を示していることから、この時が門の完成と見ている。

頭貫木鼻に大仏様式を取り入れており、県内では数少ないものである。入母屋屋根は、柿(こけら)板と桧皮を交互に葺いた「よせ葺き」にしているのも珍しい。

柱を太くして力強さと安定感をもたせる反面、柱上の組物、軒垂木は繊細な木割でまとめる。屋根は軒反りを強くするが、屋根勾配を緩く抑えて軽快にまとめた巧妙な意匠を見せている。  
                           


                                       ( 滋賀県文化財保護課 池野 保)



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