近江歴史回廊倶楽部

歴史散策・随想


   官兵衛ゆかりの姫路を歩く
     

 平成26年5月8日、悠史会メンバー8名はJR大津駅と山科駅から新快速に乗る。案外混んでいて大阪でやっと全員が座った。加古川で普通に乗り換え御着駅に着く。

 今年のNHK大河ドラマの放送地にしては、宣伝らしきものは何も無い。静かな田舎の街を歩いているのは我々のみで拍子抜けする。しかし辻々にはきちっと案内板が立って間違いなく目的地へ行けそうだ。

 最初に立ち寄った「小寺大明神」はこんもり茂った小丘の上にあった。御着城主小寺家3代と黒田、天川家などの家臣を祭っている。

 国道2号線を渡ると城の形を一部取り入れた姫路市東出張所が建つ御着城址がある。(後日、中井均先生にお会いした時、城跡を毀した当局の蒙昧さに憤慨しておられた)。

典型的な平城でこんなところにとの感がするが山陽道の通る交通の要衝であったため、小寺氏が赤松氏の守護所として築いたものであった。

黒田政職(まさもと)の頃は、御着が本城、姫路を支城とし、そこへ黒田氏が城代で派遣された。御着城は当時の播磨では比較的大きな城で、三木城、英賀城と共に播磨の三大城郭といわれた。

城址には他に目立った建物はなく公園のような状態である。ただ、西側の一画に黒田家廟所があり、官兵衛の祖父重隆、生母明石氏の供養塔がある。

傍らに植わる一本の潅木は「目薬の木」と言い、祖父が売っていた目薬の素とか……。

ボランティアガイドが支所の裏へ案内すると、そこには長さ30mはある立派な石橋が架かっていた。その下は空堀で宝暦年間に描かれた絵図による内堀であろう。城は三重の堀が巡らされ、町屋を取り込んだ総構えであったことが絵図により窺える。

国道を西に数100m行くと南に大きな境内が見えた。奈良時代創建の播磨国分寺であった。
建物は再三焼失し、現在の本堂は寛永年間のもの。広大な寺域を歩いていると、掃除をしている中年男性に出会う。名門赤松氏後裔の住職で黒田氏の本家筋に当たると自慢していた。

毛利の大軍が上月城を囲んだため、秀吉が救援に向かった。その隙に三木の別所氏が姫路城を攻めた。官兵衛が急遽引き返し、この寺に拠って撃退したと伝えられる。

御着駅からJRに乗り、再区画整備された姫路駅前の地下街で昼食をとる。(大津駅前とは格段の相違)。

正面姫路城は修築中の素屋根も取り外し中で、天守の一郭が現れていた。

山陽電鉄で妻鹿に向かい、駅前から案内標識に従い昭和の面影を残す商店や民家の間を縫うようにして、黒田職隆(もとたか)廟所へ行く。

            黒田職隆廟前にて

廟は団地の路地奥にあり探し出すのに一苦労する。数人が交代で正面一間、側面一間、宝形造銅板葺の廟屋を拝む。地元では昔から「筑前さん」と呼んで親しまれている。

秀吉は職隆の誠実さを買って出陣の時は常に城の留守居役を命じたと云われる。



廟所より北方800m、集落の先に高さ100mばかりのこんもり繁った甲山が見える。職隆が毛利の水軍を監視するため、市川の東岸山上に構えた「国府山城(別名妻鹿城)」である。

秀吉に居城(姫路城)を譲り渡した官兵衛が家族や家臣と移り住んだ城である。

西南山麓荒神社の境内に立つ「妻鹿城址」の石碑の横から山道を登る。
木漏れ日が注ぐ雑木林の坂道を行くと、「井戸跡」や「かまど跡」を通って二十分ばかりで頂上近くの平地に出る。

「馬駆け」の標識が立つ広場である。西に進むと鉄塔下の「甲山経塚」に着く。市川を挟んだ人家の続きに工場があり、その先に播磨灘が広がる。遥かに家島群島や、小豆島を望むまさに海の要衝である。

  
                           甲山

緩い道を北に取るとヒトツバの群生するなか「廓跡」「土塁跡」「狼煙跡」などが次々現れる。

いずれも低く見分けがつき難い。やがて北西部の山頂「主郭跡」に着く。北西方向一帯に姫路市街が広がり、中ほどに姫路城も見える。その向こうに増位山、広峰神社があり、奥の書写山へと続く眺望はまことに見事である。

一周するように北縁を東に向かいネズ(ヒノキ科)のの樹林を抜けると職隆の隠居跡と思われる石がごろごろした庭園跡がある。その奥には麓の荒神社のご神体とおぼしき?「磐座跡」の威厳に満ちた巨石が鎮座していた。

東から南へやや道を下り、ヒバリの囀りを聞きながら進むと平地になり、登ってきた道と合流する。

山上の城跡廓郡を一周したことになり、今回一番の見どころであった。下山してもと来た町中をとおり妻鹿駅に着く。

JR姫路駅ではせっかく姫路まで来たのだからと、各自が土産物を買って、官兵衛ゆかりの地を歩いた印象を深めることにした。  


                                                (山下)


  

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