近江歴史回廊倶楽部

歴史散策・随想


 
 近江の名木・巨木を訪ねて:湖南〔1〕

          
巨木巡りも湖北、湖東、湖西地域と進めてきたが湖南地域が抜けていることは不公平かとも思い、また以前あるいは現在住んでいることもあり湖南地域で大津・草津・栗東近辺について数回に分けて紹介してみたい。

まずは大津市の岩間寺を紹介、西国十二番札所として十一番上醍醐寺と十三番石山寺の間にあり宇治市と大津市との境に位置、私自身も初詣や自然観察に何度も訪れる所。   

創建は養老6年(722)、加賀の白山を開いた泰澄(たいちょう)法師がこの地で桂の木で千手観音像を刻み本尊にしたと言われ、汗かき観音、雷よけ観音、ボケ封じ厄除け観音として親しまれて多くの参拝者でにぎわっている名刹でもあるが、本堂横には芭蕉の有名な句「古池やかわずとびこむ水の音」由来の小さな池があることでも知られている。

駐車場を経てモミ等の大きな木の下を通って境内に足を進めると、本堂手前の古池の前に幹周りが3.6m、樹齢480年の"火伏せのイチョウ"と呼ばれる銀杏の巨木が一本立ちの姿で目に入る。

普段目にするたぐいの木であるがためか参拝者が余り目に留めないことが少々残念であるが、一本立ちのために新緑や黄葉がより印象的である。

更に進み、本堂左手の霊木と表示されたカツラの木を横目に通り越して標識に従って歩き始め、右に曲がって林に入る手前左手の谷間にカツラの巨木群が鎮座、根元から多くの木立があり幹周11.5m、推定樹齢500年で宇治市の名木百選でもある。

カツラの木は葉の形がハート状であり、秋には黄葉する落葉樹で腐りにくく材質から仏像にも使われるとのこと。
毎月17日のみJR石山駅から縁日がある岩間寺へは臨時バスが出ることになっているものの普段の交通の便としてマイカー利用以外には不便であり、何人かでタクシーを利用することが便利でもあり費用的にも良いと思い薦める次第、ぼけ封じ祈願と併せて近郊には松尾芭蕉が晩年に過ごした幻住庵や石山寺があり一度参拝されてはと思います。

次は大津市でも琵琶湖畔に近い膳所木下町にある和田神社、旧東海道沿いにあり門をくぐると右手に幹周りが4.4m、樹齢600年のイチョウの巨木がある。
この木は巨木と言うよりは、関が原の合戦で敗れた石田三成が京都に護送される際にこの木に繋がれたとの歴史的な話のほうが有名であるが、旧膳所藩城下の膳所神社やエノキの巨木のある岩坐神社、また篠津神社など旧東海道沿いの膳所藩の歴史のウォークを兼ねた散策には訪れて頂きたいものである。

その次は旧東海道では大津の宿の隣の宿場である草津市の立木神社、幹周りが6.5mの樹齢300年以上のウラジロガシが巨木で有名であるが主幹が切られ非常に痛々しい限り、一部の枝が伸びており何とか樹勢の衰えを回復して欲しいもの、このウラジロガシは一般にどんぐりと呼ばれる実を付けるブナ科の常緑の木で葉の裏が白いのが名前の由来である。  

なお境内には見事な黒松と寄り添う桂の木、またムクノキの大木や多くのクスノキ群、神木としては珍しい柿の木などが見られることもあり、旧東海道の草津本陣から徒歩で10分弱と歴史散策にはぜひ立ち寄る価値あると思います。

最後は栗東市の五百井(いおのい)神社、金勝川沿い下砥山の安養寺山麓にあり、知識はないが多くの狛犬が見られ、最近はその盗難で有名になった神社である。

鳥居からは境内右手に高い杉の木が数本見えるが、境内に入り少しうっそうとした木々をくぐりぬけると幹周りが4.9mで樹齢が伝承2000年の杉の巨木が目の前に、壬申の乱のとき大友皇子の子、与多王がこの木に馬をつないだという伝説がある。 

日本には有名な縄文杉を始めとして全国各地に杉の巨木は多くあり、県内でも幹周りが7mを越える杉が多くあることから、大きさについて特筆すべきものではないが、伝説のゆえんがあるがごとく、その荘厳さを醸し出している風格を感じた次第。

なお安養寺山麓には五百井神社の他に良弁が開基したと伝えられる安養寺や和田山古墳公園、また山間の金勝寺付近くには狛坂廃寺・磨崖仏見学など歴史的にも一見に値する所があるので、金勝寺の良弁杉も併せて見て頂きたいものである。
なお信楽や朽木方面についても、今後何らかの機会を捉えて報告したいと考えています。

 (木村)



  

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