近江歴史回廊倶楽部

行事の詳細


  水郷の里 伊庭の郷土史を訪ねて



会報46号の近江水の宝シリーズで紹介された東近江市伊庭が今回の例会の場所とのこと、時機を得た催事と期待に胸を膨らませ参加した。

埋蔵文化センターで学芸員から案内と解説を聞いた。
能登川町の実績プラス東近江市各地からの埋蔵文化財で2階の広い収納スペースが満タンの状況であった。一階では発掘物の復元作業場とバラバラの破片が入ったトレーをみて、組み立てる苦労は大変だと感じた。

隣接博物館ホールでは県の文化財保護課畑中英二氏から「近江水の宝と伊庭の郷土史」について講演をいただいた。

会場には伊庭町から「伊庭庄の歴史を語る会」の方々も参加され、機に応じて説明が追加されて、おおよそのことが理解できた。

伊庭庄に移動して、中世佐々木六角氏の守護代であった「伊庭氏の城跡」は、江戸期は「旗本三枝氏の陣屋跡」、明治時代は“謹節学校(小学校)”。
 
今は“謹節館”と呼ばれ公民館として活用されている。その中で、町内の歴史愛好家からパンフレットをいただき謹節館の歴史を学んだ。

前庭の隅に石柱が数本あり、これは水路を狭めるなどしたときに橋の袂に立てられていた橋の柱である。刻された文字はちょっと読みにくかったがそれらしきものと判断できた。
           勤節館前にて
また人の背たけほどの石柱もあって、人の胸くらいの位置に掘り込みがあり、明治初期の大洪水の水位がここまでと記されていた。東北の津波にも過去ここまで潮位が来たとの記事を思い出した。

伊庭庄は湖から山までの区域で明治13年には496戸、平成23年には310戸とのこと。戸数の減少は、新興住宅の増加により自治会を分離したためと説明があった。

町内は意外に広く、水路が縦横に走り、祭礼時神輿を船に乗せたところとか、以前は各戸にあったといわれる「カワト」などが随所に見られた。

昔は各戸が田舟を持ち、運搬・交通に利用された川とのこと。川中にはたくさんの錦鯉が放流されている。

今も川を町内総出で清掃をしていることに郷土を守る人達の心意気を受け取り、さわやかな気持ちになると同時に、季節には蛍も舞い飛ぶということを聞けば、さもありなんと感服の至りであった。

“郷土を大切に”の心は神社・仏閣などの保存活動にも反映されている。有名な5月4日の伊庭の坂下しは、急な坂や岩場を多数の若者が神輿を引きずりながら降ろす神事だが、その前後にも祭事が複雑にある。儀式が伝統に守られて継承されている。

◆神社
《大濱神社》
参道に結界が張られ諸厄、・諸病等の退散祈祷で町内を護持した象徴が残る。
《金比羅宮》
港があるので水運・漁労の守護神として祀られる。境内に常夜灯があり、灯台の役目を果たしていた。
《仁王堂》
かやぶき屋根の建物。鎌倉時代の創建とされ、主に祭礼の舞台となる。

◆寺院
《妙楽寺山門内の寺》
妙楽寺山門内に妙楽寺・法光寺・浄福寺・誓教寺四ヶ寺あって、昔は別格寺院とのこと。
《妙楽寺》
真宗本願寺派 藤原鎌足を祀る。約五〇〇年前からの絵系図が壇徒各戸にあり、ご先祖様各世代の夫婦の肖像画が彩色で描かれて巻物に仕上げられ、お盆に寺に持参し親類縁者が追弔するという現在までも続く他には無い風習。
《妙金剛寺》
浄土宗 安土宗論の勝者が信長から褒美として現近江八幡市の西光寺を創設されたとのこと。
《正厳寺》
真宗佛光寺派 妙楽寺が真宗本願寺派に転向の際、転向反対の同志が集まり仏光寺派の寺として存続させた。功績多大として佛光寺から仏像などを貸与され、現在まで宝物として護持されている。
大中の湖が干拓されるまで、伊庭庄は琵琶湖に面していた。漁労や藻草(当時の肥料として有益)、葦の産地など、裕福な土地であった。

伊庭氏が六角氏に謀反して滅亡し、六角氏も信長に反抗して滅亡した。
その後の伊庭を治めたのは徳永寿昌といわれ、伊庭庄の復興に尽力し、治水を図り運河を開削した。住民からの信頼も厚く、関ヶ原の戦いの折、大津城で西軍の大軍を釘付けにして東軍大勝の戦果を挙げた京極高次に湖面から兵糧を補給した功績があった。その功により、徳永寿昌は美濃の国高須藩5万600石の大名になった。

思えば、伊庭庄は小近江の国と思うことができる。
神仏への崇敬、湖を利しての、漁労・交通・利権など多数の恩恵を受けている。

戦国時代では六角氏と下克上の争いがあり、近辺には信長野望の安土城が聳え、天下分け目の関ヶ原の戦いの鍵 を握り、陸路も朝鮮人街道や下街道が通過し、航路・陸路を押さえ、戦争で荒廃した中で、ご先祖様からの神社、・仏閣を護持し続け、今も歴史文化伝統の継承に尽力されている姿こそ、数百年の歴史文化を今に伝える近江人の姿である。

私共も地域文化を育て失わないように次世代に伝えることに尽力しようではないか。
今回の例会にご指導賜りました、関係者の皆様に厚くお礼申し上げます。終日ご先導賜りました「伊庭庄の歴史を語る会の皆様」ありがとうございました

                                                     (小根田)





      

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